2015年6月6日土曜日

ストーカー女とロボ男

-ストーカー女とロボ男-
学校へ向かう電車を待っている時
ある男が私に話しかけてきた
トントン
「これ、落としましたよ」
ハンカチを落としていたようだ
「えっ?あ...ありがとうございます」
この男、目が死んでいる。
夜道で会っていたら不審者扱いしていただろう。

この男はただただ死んだような目で、電車待ちの列に並ぶのだった。

-次の日-
・・・またあの男だ、昨日の今日だし一応礼くらいしておくか
「昨日はありがとうございました」
「・・・」
「あの...?」
返事すらしない
というより、この男には私すら見えていないような
そんな気すらしてくる
この男は生きているのか?
「サラリーマンはロボットだ」などと言われるが、
この男は本当にロボットなのではないだろうか?
そんな疑問がよぎる

少なくとも女子高生に興奮するような人間ではないことは分かった
「それではこれで、失礼します」


-次の日-
私はあの男が気にかかり目で探していた
そして今日もあの男は昨日と同じ時間、同じ場所で電車を待っていた。
「おはようございます。一昨日はありがとうございました」
普通の人ならいい加減、変だと思うだろう。
しかし、この男は相変わらず死んだような目で虚空世界を見ているようだった
「今日はいい天気ですね!」
今日は雨が降っている。普通ならばこんな天気をいい天気とは言わないだろう。

突拍子もない発言をすれば反応が得られるかと思ったが、
返事はない
「それではまた明日」


-夜-
私はほぼあの男をロボットだと決め打っていた
あの男の虚ろな目はロボットによるものだと考えるようになっていたからだ
私は奇妙なおもちゃを手に入れた気分だった


-次の日-
今日はわざとハンカチを落としてみよう
相手から反応を得られるかもしれない
わざとらしくならないようにハンカチを使ったあとポケットに入れるときに落とそう
ピラっ
・・・
・・・
「これ、落としましたよ?」
初めてあった時と同じ反応だ
「・・・あ、ありがとうございます」
全く同じ反応じゃないの!
ロボットだから仕方ないとはいえもっと面白い反応できないの!?
ぐぬぬ・・・

今日は英単語の小テストだから考えるのをやめよう・・・


-夜-
明日は土曜日、普通なら会社はない
しかしあの死んだような目、ロボットなら土曜に仕事があっても何ら不思議ではない
明日付いて行ってみるか・・・?



-次の日-
制服で行くか、私服で行くか・・・

制服だと教師に見つかった場合面倒で
あの男に判別されやすい

私服だとあの男に判別されにくい

・・・私服一択ね
こうなったら可愛い服とスカートを着てあの男を悩殺してやるんだから!
ロボットを悩殺できるかはわからないけれど・・・

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