ある心療内科にて
受付「この心療内科では個人情報保護のためにドクターと患者さんの顔と声が認識できないようになっています。ご了承ください」
ドクター「次の方どうぞー」
患者「こ、こんにちはよろしくお願いします。」
ドクター「はいお願いしますねー(挨拶で緊張をしているところを見るとかなりの人見知りのようやな)」
ドクター「初診ですよね?今回はどのような要件で来られたんですか?」
患者「あ、はい、私自分に自信がなくて・・・昔から姉の影に隠れるようにして生きていたんです。でも姉が社会人になってそれから気づいたんです。自分は何もできない人間なんだって」
ドクター「なるほど、自分に自信を持てるようになったり姉がいなくても自分で生活できる強さが欲しいんですか?」
患者「・・・確かに自分に自信が無いのも変えたいですし、姉のように自分に芯をもって生きたいんです。でも・・・」
ドクター「・・・」
患者「・・・」
ドクター「でも・・・?言いたくなければ無理に言う必要はないですよ(んーこれは結構根が深そうやなこの子は姉を基準に自我が形成されてる気がするわ)」
ドクター「あなたのお姉さんは自信に満ちあふれているタイプですか?」
患者「はい!自信があってみんなに慕われるような人です。」
ドクター「お姉さんはみんなに慕われるとおっしゃられましたが、自信があるから慕われているのですか?それとも他の才能やカリスマがあるからですか?」
患者「お姉ちゃんは明るくてみんなを笑顔にしてくれたり、一緒にいて楽しくなるような存在なんです。」
ドクター「なるほど・・・(この子、姉のことになったら急に饒舌になってきてるな)」
ドクター「最近、お姉さんとは会えていないんですか?」
患者「仕事場の近くの寮で暮らしているので会えていないんです。それに電話とかしても仕事中だからと断られてしまって・・・」
ドクター「(ここまで姉に依存しているようやと姉と共に治療するのが一番良さそうな気がするけど、この子だけでもちゃんと生活することは出来ると思う。聞いてみよか)」
ドクター「現状私が考えている改善法は2種類ありまして、1つ目があなたのお姉さんと共に治療をする方法、もう1つがあなた一人で治療する方法です。」
ドクター「最初だけお姉さんに協力してもらうことも可能です。」
患者「私・・・どうすればいいですか・・・?」
ドクター「(やっぱり自己決定能力がほぼ皆無やな)では一度お姉さんに電話して貰えませんか?いくら仕事と言えど5分程度なら問題ないでしょう。」
患者「分かりました・・・少しお待ち下さい」
ぴぽぱぽぴぽぽぴ
プルル・・・
患者「もしもしお姉ちゃん?」
ドクター「ん?なんや葵今仕事中やねんけど」